固定資産税の基礎知識、評価額変更で影響を受ける他の税金一覧&評価替えとは?

FP野崎 ライター : FP野崎

固定資産税を理解する前提として必要な「固定資産」の定義や「課税台帳」などの基本的な知識に付いては、前回「固定資産税の基礎知識、そもそも固定資産とは?」に紹介した。

今回は、固定資産税の評価額について、深くみていく。

評価額、課税標準とは?

地方税法では土地、家屋などの固定資産について、「適正な時価」に対して課税すると定めている。この「適正な時価」を固定資産税評価額とし、市町村が評価額を決めている。

納税者に毎年通知される課税明細書では、単に「価格」と記載されていることもある。この固定資産の評価方法は、総務省が全国一律の「固定資産評価基準」として、土地、家屋、償却資産ごとに細かく定めている。

住宅用地の特例措置で、評価額と課税標準が一致しないことがある

地方税法ではこの評価額を原則として「課税標準」とし、課税標準に固定資産税率を掛けて税額を算出する。しかし、特に土地には住宅用地の固定資産税負担を軽減する「住宅用地の特例措置」があり、特例を加味した評価額を課税標準とするため、評価額と課税標準は一致しないことがある。
住宅用地の特例措置では、200平方Mまでの小規模住宅用地の課税標準は評価額の6分の1に、200平方M超の一般住宅用地は3分の1に軽減されている。固定資産税額もその分、少なくなる。

市町村による固定資産税の課税誤りで多いのが、住宅用地の特例措置を適用し忘れているケースだ。税額に与える影響が大きいため、しっかりとチェックしたい。また、住宅の完成を年内に急いだり、取り壊しのタイミングを年明けにずらしたりするのも、この住宅用地の特例措置のためだ。

1月1日に住宅が建っていれば特例が適用されるが、更地なら適用を受けられず課税標準が6倍になる。ただ、すでに新築工事に着手しているといった要件を満たせば、特例の適用を引き続き受けられる。

固定資産税評価額は“他の税”にも影響する

固定資産税評価額は固定資産税の課税にだけ使うのではなく、他の税にも大きく影響している。都市計画法の市街化区域内にある土地・家屋には、「固定資産税評価額×0.3%(最高限度)」の都市計画税(市町村税)がかかる。都市計画税にも住宅用地の特例措置があり、200平方メートルまでの小規模住宅用地は評価額の3分の1に、200平方メートル超の一般住宅用地は3分の2に軽減される。

また、土地の売買に伴う所有権の移転登記には、「固定資産税評価額×1.5%」(2年3月末までの軽減措置)、家屋の売買に伴い所有権を移転登記する場合は「固定資産税評価額×2%」(個人が自ら居住する家屋なら0・1~0.3%の軽減税率)の登録免許税がかかる。
さらに、土地・家屋(住宅)の購入・贈与の際には、「固定資産税評価額×3%」(3年3月末まで)の不動産取得税(都道府県税)が発生する(宅地として評価している土地は評価額を2分の1にして計算)。

加えて、家屋を相続したり贈与し「たりする際、相続税や贈与税(いずれも国税)は家屋の固定資産税評価額をもとに課税される。いったん評価額を誤れば、納税者が指摘して修正されない限り、世代を超えて引き継がれることになる。

固定資産税評価額で影響を受ける他の税金おさらい

■都市計画税
⇒固定資産税評価額(土地、家屋)×0.3%(最高限度)

■登錄免許税(土地の所有権移転登記の場合)
⇒固定資産税評価額(土地)×1.5%

■不動產取得稅
⇒固定資產稅評価額(土地、住宅)×3%

■相続税、贈与税
⇒家屋の相続税評価額は固定資産税評価額

固定資産税の税率はどれぐらい?

固定資産税率は市町村ごとに異なるが、地方税法で市町村が通常用いるべき税率(標準税率)として「1・4%」と定められている。

総務省によれば2017年度、全国1719市町村(東京3区を1自治体として含む)のうち、標準税率を採用しているのは1566市町村と9割以上。人口8万人以上の市ではすべて標準税率の1・4%を採用している。残る市町村はいずれも標準税率より高い税率で、青森市や秋田市などでは1・6%となっている。

固定資産税は市町村にとってのキャッシュカウ(稼ぎ頭)であり、基幹税といえる。総務省によれば、固定資産税収は9年度、約8.9兆円と、市町村税収の4割強を占める。
このうち、土地は約3・4兆円、家屋は約3.8兆円、償却資産は約1.6兆円と、家屋の固定資産税収がもっとも多い。しかし、固定資産税は東京など大都市部に税収が偏在しており、都道府県別の人口1人当たりの税額では、最も高い東京都が2万8625円なのに対し、最も低い長崎県では4万6936円と倍以上の開きがあるのも興味深い。

適正価格の見直しを行う「評価替え」とは

固定資産税の建前は、毎年1月1日時点における固定資産の「適正な時価」を課税標準として課税する。しかし、膨大な数の土地、家屋の「適正な時価」を毎年評価することは、あまりに実務の負担が大きい。そこで、3年ごとに評価額を見直し、3年間は評価額を据え置く制度が採用されている。

この3年に1度、評価額を見直すことを「評価替え」と呼んでいる。

前年1月時点の地価公示価格が基となる

土地の固定資産税評価額の評価替えでは、国土交通省が発表する前年1月1日時点の地価公示価格を基に評価し直す。例えば2018年の評価替えでは、17年1月時点の地価公示価格が基になる。
7年1月時点の地価公示価格は、多くの土地で3年前に比べて上昇しており、今年度の評価替えで前年度に比べ評価額が上昇する土地も少なくないとみられる。

一方、家屋は評価替えの際、建築時点からの経年劣化分や物価変動分などを考慮して評価し直すが、新たな評価額が前年度を上回る場合は前年度の評価額に据え置くことになっている。


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