固定資産税の基礎知識、家屋の評価計算法&不服のある場合の手続き

FP野崎 ライター : FP野崎

固定資産税の基礎知識について、これまで計3回に別けて解説してきた。最後は、家屋の評価法及び固定資産税評価額の計算式、評価額に不服のある場合の申し立て方法について紹介したい。

第1回:固定資産税とは?課税台帳の記載内容
第2回:評価額変更で影響を受ける他の税金一覧
第3回:土地の評価額と課税標準の計算方法

家屋の評価法とは

家屋の固定資産税評価額は、購入時の価格や建築工事費ではなく、「再建築価格方式」によって求めている。

再建築価格とは、評価時点で同じ建物をその場所に新築するのに必要な建築費を指す。固定資産評価基準では、家屋の構造や屋根、外壁、内装などに使われる資材・設備ごとに「評点数」を細かく定めている。この評点数を資材や設備の量、数に掛け合わせて合算し、家屋の「再建築費評点数」を算出する。

評点数は、1点=1円×物価水準による補正(倍)率(木造家屋1.05、非木造家屋1.10)で計算し、家屋の固定資産税評価額としている。

家屋完成に役所の人間が来るのは、「固定資産税評価額」算出のため

家屋の完成時に市町村の担当者が現場に来たり、図面を借りたりするのは、家屋の構造や資材・設備の量・数を確かめて、固定資産税評価額を出すため。

担当者には地方税法で「質問検査権」が与えられ、調査を拒否すると罰則が科されることがある。資材・設備の量・数ごとに細かく評点数を積み上げる方法のため、大型の複合ビルなどでは評価額を計算するのに2年ほどかかったりすることもある。

家屋の評価額は3年ごとの評価替え

土地と同じく、既存の家屋の評価額も3年ごとの評価替えで見直される。その際、ゼロから評価し直すのではなく、前年度の再建築費評点数を基準に、建築物価の変動分や建築後の経過年数に応じた減価分を補正する。

建築物価の変動分は「再建築費評点補正率」で計算し、今年度の評価替えでは木造家屋の補正(倍)率として「1・8」、非木造家屋は「1・8」が適用される。家屋の評価替えで評価額が下がらないこともあるのは、建築物価の変動分の補正が影響している。

また、経過年数に応じた減価分は経年減点補正率で補正し、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄骨造など家屋の構造によって異なっている。また、家屋の固定資産税評価額は再建築価格の3%を下回らないこととされており、古い家屋では評価額が下がらないことがある。ただ、家屋では評価替えに伴って前年度の評価額を超えた場合には、前年度の評価額に据え置かれる規定になっている。

複雑で手間のかかる評価法のため、設備であるエレベーターの基数を数え間違えたりするなど、評価の誤りは少なくない。評価額に疑問があれば家屋の「評価調書」を見せてもらい、土地とともに説明を求めたほうがいい。

◯家屋の固定資産税評価額の計算式
家屋の評価額 = 再建築費評点数 ✕ 減点補正率 ✕ 評点1点当たりの価格
※減点補正率は、経年減点補正率など


役所の人間がすべて正しいとは限らない。家屋の「評価調書」を見せてもらい、誤った計算がないかチェックするべき ※画像はイメージ

評価に不服がある場合はどうしたらいい?

固定資産税に対する不服は、評価額とそれ以外で手続きが異なっている。
評価額に対する不服は、各市町村の固定資産評価審査委員会に対し、「審査の申し出」という手続きを取る。審査の申し出は地目変更や家屋の増改築といった事情がなければ、3年に1度の評価替えの年にしか認められておらず、納税通知書が交付された日の翌日から3カ月以内が申し出の期限。

審査委は申し出を受けて審査し、その結果を決定する。決定に不服があれば、決定を知った日から6カ月以内、または決定の日から1年以内に審査決定の取り消し訴訟を提起する。

評価額以外の不服は市町村に「審査請求」を

一方、評価額以外の法令解釈や事実認識などは、市町村長に対して「審査請求」を行う。 請求の期限は、その年の納税通知書が交付された日の翌日から3カ月以内。市町村長は請求を受けて、請求が妥当かどうかを裁決する。裁決に不服があれば、裁決を知った日から6カ月以内、または裁決の日から1年以内に裁決の取り消し訴訟を提起する。
土地の地目や画地の認定、家屋の再建築費評点数などは審査の申し出の対象で、特例の適用ミス、非課税の扱いなどを争う場合は審査請求になる。

過去にミスは多発しているので要注意。役所の明らかなミスなら随時修正

重大で明らかな市町村側のミスであれば、「審査請求」などの手続きを経なくとも、市町村は随時修正に応じている。市町村側のミスが判明した場合、徴収しすぎた税金については通常、地方税法の消滅時効である過去5年分が還付される。数十年間にわたり徴収ミスが各地の自治体で相次ぐ事例があり、役所の処理を100%鵜呑みにするべきではない。

一方、不服申し立て以前に、固定資産税は期限までに必ず納付する。期限をすぎれば、他の税と同様に督促状が送られる。延滞金に加え、最悪の場合は預金や給与、不動産などを差し押さえられ、公売にもかけられてしまう。
督促状が届いたら、市町村の担当課に税を支払う意思を伝えたうえで、速やかに納めたい。災害や納税者自身のけが、病気などの場合は1年間、納税を猶予する制度もあるので覚えておきたい。


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