アメリカ金利上昇で影響を受ける日本企業、株価や景気は今後どうなる?

資産4億@個人投資家GOD ライター : 資産4億@個人投資家GOD

2018年3月初め、ニューヨーク発の世界同時株安によって、注目を集めた「米国の金利上昇」。マーケットの先行き不透明感はなかなか払拭できない理由がこれにあるといわれる中、なぜ米国の金利が注目を集めているのか、株式市場では何が起きているのかを探ってみる。

アメリカ金利上昇の背景

米国連邦準備制度理事会(FRB)昨年5年末、リーマンショック後にゼロ%にまで引き下げていた金利の引き上げに着手。7年からはおカネの量を増やすために市中から購入してきた国債などの資産の縮小を始めています。

FRBによる政策金利の引き上げは、代表的な運用資産である米国債の利回りも引き上げます。メディアで「米国長期金利」と紹介されるのは、米国の2年国債(償還期限が2年)の利回りのこと。米国債の利回りは国際的に金利の指標になっています。
その動きの影響が及ぶ範囲は、銀行による貸し出しなど米国内だけにとどまらず、各国の国債利回りにも少なからず影響を及ぼします。また米国債の利回りが上がれば、新興国へと流れていた米国の投資マネーが母国に戻るなど、世界全体のおカネの流れが変わる可能性もあります。

金利が上がると株価や景気はどうなるの?

一般的に金利が上昇するとき、株価は下がりやすいといわれます。企業は金利上昇で借り入れコストが増えるため、設備投資の縮小などを行います。日常生活をイメージすると分かり易いのですが、住宅ローンやオートローンの金利が上昇すると、個人は住宅や自動車の購入を見送る機会も増えるはず。
これらの要因を背景に企業業績の先行きに対する不安が高まり、投資家は株を売るキッカケとなります。

一方で金利上昇は必ずしも悪いことではありません。というのも、金利上昇は景気のよさの裏返しでもあるから。景気がよくなると人々の収入は増え、消費や投資が活発になります。個人消費が伸びると、企業はモノを多く生産して設備投資をする意欲が増えると考えられます。

こうして個人や企業のおカネに対する需要が高まることで金利が上がります。

「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」の違い

現在のアメリカは以上のそのような局面にあります。
実際、今年2月にFRB議長に就任したパウエル氏は、米国景気の強さに言及しています。このような「よい金利上昇」であれば、投資家もしだいに慣れてきて、株式市場は落ち着きを取り戻すでしょう。「このような米国での金利上昇は、「適温経済」「適温相場」を変える可能性があります。適温とは景気がじわじわとよくなり、企業の業績も株価も緩やかに上がり、しかも金利は低いという状態のことです。よい金利上昇であれば、適温の終わりはやむをえないことです。

問題なのは、今回の金利上昇が「悪い金利上昇」の始まりかもしれない点。トランプ大統領は景気を浮揚させるため、大幅な法人税減税を打ち出しました。この減税で米国の財政赤字は大きく拡大すると見込まれています。トランプ大統領は、インフラ整備の強化など積極的な財政政策をさらに進めようとしています。

放漫財政によって米国の信用が損なわれれば、米国債が売られ長期金利が上昇しかねません。財政政策によって景気が過熱して、過度なインフレを招く懸念もあります。このような悪い金利上昇であれば、株式市場も当然悪影響を避けられません。

一方、なぜ日本は円高に?

これまで米国金利が上昇すればドル高になり、結果として円安になると考えられてきました。米国金利の上昇で米国債の利回りが上がれば、米国債を買いたがる投資家は増えるはずです。米国債を買う際は、ほかの通貨を売ってドルを買う取引も基本的に伴うので、ドル高につながります。
ところが足元は1ドル=105円前後と、110円近辺で推移していた株価急落前に比べて円高になっています。これは円高というよりもドル安と考えるべきでしょう。

1月下旬に開催された世界経済フォーラムのダボス会議で、米国のムニューシン財務長官は「(貿易などの点で)弱いドルはわれわれにとってよいことだ」と発言しました。市場関係者からは、「この発言以降、ドル高には進まなくなった」と指摘する声が聞かれます。悪い金利上昇を見込んで、米国債売りとドル安が起きていると見る向きもあります。米国側の要因に加えて、日本の輸出企業の行動の変化も円安に進まない原因とする見方があります。

緩和政策の正常化に進もうとする中、市場は日銀がいつ正常化に踏み切るのかを気にし始めています。2018年3月2日に黒田東彦総裁が正常化について少し言及しただけで、一時円高に動いたほど。円安シナリオの成立は難しそうです。

2018年以降、日本株は将来的にどうなる?

ドルの売られやすい環境が続いているので円高に振れやすく、輸出企業が牽引してきた日本企業の業績にはマイナスとの見立てがされています。 相場の先行きに悲観的な市場関係者は少なくありません。というのも、相場環境のよい時期が数年続いた後、米国の利上げ懸念が株安をもたらしましたことがあります。米国金利が上昇する中でドル安も進んでいましたが、その後に起きたのが米国住宅バブルの崩壊、リーマンショックです。

過去の経験を踏まえ、ROE(自己資本利益率)の高い銘柄が買われる動きが投資家たちの間で近年広がりをみせています。高ROE銘柄の人気は世界的に上昇し、たとえ割高でもさらに買われるという流れが日本市場でも起こりました。

一方、手元資金を多く持つ企業の銘柄のROEは相対的に低くなりますが、株価が下がったとき、キャッシュリッチ企業には自社株買いの余力があります。世界的に株価が暴落した際は、相対的に割安なうえに株価の下値が堅いと考えられ、買われやすくなる可能性もあります。

現在のような適温相場はいつまでも続くものではなく、相場の急変も見越して今後の投資を考える必要がありそうです。


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